言士 #11

 相変わらずコロナが蔓延する日々。もはや感染者数を聞いても、なんの感情も湧いてこない。もちろん感染予防には努めているが、訳のわからないデマを流す人や信じる人の話を聞くたびに、虚しさと悲しさで滅入ってしまう。そういったデマを流す人は、わずか数人だという。ただそれを信じてしまう人があまりにも多く、さらにお得な情報として親切心で拡散してしまうからタチが悪い。そういった現状が医療現場で必死に働く方々を窮地に追い込む。負のスパイラルがどこまで続くのやら。そういえば、負のスパイラルで思い出すことがある。それは今から40年も前の話だが、いつものように友人と大阪に遊びに行っていた時のことだ。友人が買ったタコ焼きから全てが始まった。6個入りのタコ焼きの上で華麗におどる鰹節。タコ焼きを目で味わう美味しさの極みだ。ふうふうしてからの最初の1個が格別にうまい。友人も「これこれ!この鰹節のダンスがたまらんわぁ」といってふうふうし始めた。と、ふうふうの勢いが強かったのか、鰹節がタコ焼きに馴染んでなかったのか、ほとんどの鰹節が宙に舞った。それを捕まえようとする友人の姿は、まるで鰹節とダンスを踊っているかのようだった。タコ焼きの器を手のひらに置き、くるくると回る姿は今でも忘れることができない。だが、優雅に思えたのもほんの2、3秒のこと。友人は宙を舞う鰹節に気を取られ、足元を見ていなかった。地面の僅かな出っ張りにつまづき、手のひらの器から今度はタコ焼きが宙を舞った。「あああああああっ」というなんともいえない友人の叫び声。その瞬間、友人は鰹節からタコ焼きキャッチへとターゲットを変えた。前のめりになった体を踏ん張り、上半身をねじりタコ焼きをキャッチした。わずか1個ではあったが見事器に乗せてみせた。あとは無惨な結果となってしまったが、友人にとってその1個は3個ほどの価値があっただろう。その後、地面にブチまけたタコ焼きを片付け、空を仰ぎながら「なんかちょっと嬉しいのはなんでやろ」と言いながらタコ焼きを見つめていた。私は自分のタコ焼きを2個彼の器に入れた。友人は「ありがとう、ありがとう」と満面の笑みで答えた。が、次の瞬間、友人は頭を下げると同時に持っていた器まで下げていた。当然、全てのタコ焼きが地球に引っ張られてしまった。友人の手元にすべてのタコ焼きがなくなるまで10分もかかってないだろう。この不幸な出来事はここで終わらない。どうやらこの日の彼は地球に嫌われていたらしい。帰りの道中で車内に缶コーヒーをブチまき、駐車場の側溝に片足を突っ込み、トドメは財布を落としたという結末。この負のスパイラルは2日間続いた。最終的に友人の落とした極め付けは「ツキ」だったと言えるだろう。その日以来、友人はタコ焼きを食べなくなった。「タコ焼きはバッドアイテムや」という友人の言葉は説得力があった。だが友人のバッドアイテムはタコ焼きだけではない。友人の口から「バッドアイテム」の台詞は何回か聞いている。そんな友人を「大丈夫や!お前はワシにとってスマイルアイテムやから」と心を込めて励ました。友人は最高の笑顔で「おう!」と答えてくれた。負のスパイラルも吹き飛ばす友人の笑顔を思い出すたび心が温まる。

長老 SACHIO

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