言士 #09

 数時間前から、雨がずっと降り続いている。その勢いはおさまる様子もなく、激しく屋根を叩きつける。私は小さい頃から雨が嫌いだ。傘をさしても濡れるし、前は見にくいし、外で遊べないし、なんか物悲しくなるし、とにかくマイナスなイメージしかない。しかし意外にも「雨」を題材にした曲は多い。「アイ ライク ショパン」、「ENDLESS RAIN」、「サボテン」、「雨の日と月曜日は」などなど名曲揃いだ。中でも「明日に向かって撃て!」の「雨にぬれても」は私のお気に入りだ。そして、もう一つ「ジリオラ・チンクェッティ」の「雨」が大好きだ。この曲を聴くと少し憂鬱な気分が晴れる。こんな感じで、私は落ち込んだ時や気分が優れない時のお助けアイテム的な曲が存在している。気分を上げたい時は「MARLENE」の「IT’S MAGIC」を必ず聴く。そして極め付けは笑いたい時の曲だ。この曲は学生時代に友人と一緒にコピーしていた曲なのだが、その日も友人と一緒に練習していた時のことだ。友人が演奏中にギターの弦が切れ、切れた弦が見事に友人のおでこに刺さった。友人はそれに気づかず弦を探していた。その光景がおかしくて今でも思い出すたびに笑える。「松山千春」の「銀の雨」、これこそが私のお笑いソングだ。曲はとても笑えるようなモノでなく、どちらかといえば泣けるジャンルなのだが、笑って歌うことすらできない。それとは逆に失恋した時の曲などは、今聴いても切ない気持ちになる。たまにお店でこの曲がかかっていると、テンションが下りまくり、何も購入せずにお店を後にする。どうやら私は、音楽によって気分を支配されているのかもしれない。この歳になっても、まだ最後まで聴くことのできない曲もある。母親が倒れた時にTVから流れていたその曲は、誰かがカラオケで歌ってもやはり席を立ってトイレに行く。どうしてもその時の光景が蘇ってしまい気分が急降下してしまう。気分急降下な曲は何曲か存在しているが、そのどれもが悲しい思い出に直結している。どんな時代にも歌があり、どんな人にも歌がある。歌と共に喜びや涙もある。そして、そんな歌を無性に歌いたくなる時もある。流行り廃りは世のつきものだが、歌は個人の思い出と共に存在し、色褪せることはない。昭和の名アナウンサー玉置宏さんの語りにこんなのがある。「ある時は我が身の不幸を嘆き、ある時は密やかな歓びに涙する。閉じた瞼の奥に過去は浮かびては消え、見つめる未来に果てしない夢が漂う。人生、それは限りなく愛しきもの。」これは「美空ひばり」の「愛燦燦」の語りだ。私はこの語りを聞いて「言葉」の力を知った。歌には託された想いも入っているんだと思った時、その奥深さに感動すらした覚えがある。それからは、リズムではなく歌詞に重点を置くようになった。これから先、いつまで歌を聴いているのか、新しい歌を聴くことができるかどうかはわからないが、きっとこれからも思い出の曲は増え続けるのだろう。愛犬と聴くJUJUの歌もまた、思い出の歌になることは間違いない。つい最近、そんな思い出の歌が増えた。楽しくもあり、悲しくもありなのだが、いつの日かそのエピソードを紹介できる日が来る様にしたいと思っている。私は今、不平等なコロナ対策に「うっせぇわ」を聴きながら、落ち着きを取り戻す毎日を過ごしている。

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